特 別 対 談  「なぜ日本人は英語が苦手なのか?」対談

田口:私はニューヨークが大好きで、毎年、時間があれば、ニューヨークに滞在します。ニューヨーク全体の雰囲気がいいですね。日本的なものにも惹かれますが、それと対照的なニューヨーク的なものにも大いに魅力を感じます。特に海外にいると、語学力の大切さは痛感します。私も今ではストレスなくニューヨーク生活を満喫できるのですが、かなり若いころは英会話に苦労しました。児玉先生は、音読を中心にした教材を開発されたと聞きました。これはどんなものですか。

児玉:今回新たに開発した英語教材は音読に焦点をあてたものです。私は、英語を話せるようになるには音読が重要だと考えています。最近は「聞くだけ」という教材が多いですよね。もちろん英語を聞くことはとても大切なことだと思います。聞けば聞くだけ耳も慣れてきます。ただ、耳は慣れてリスニング力はつくと思いますが、英語を話せるようになるにはやはり聞くだけでは足りないのです。田口先生のように長期にわたって海外に滞在された人ならともかく、やはり普通の日本人には音読が一番、と思います。

田口:なるほど。英語をまず聞くというのは大切なことです。それをしたうえで、さらに音読をするというのは効果的だと思いますね。音読は、聞くことと話すことを同時に勉強することになりますからね。私は、とにかく仕事の関係もありますし、ニューヨークが好きだということもあって、いろいろな方法で英語をマスターしてきました。児玉先生は、昔から英語がお得意だったのですか?対談 音読
児玉:いえいえ。実は、英語は大嫌いで、一番の苦手教科でした。

田口:それは驚きですね。児玉先生は、国際平和研究学会の事務局長をされているなど国際的に活躍していらっしゃるのに、昔は英語が苦手だったのですか。

児玉:そうですね。私が、現在世界で通用するだけの語学力を身につけ国際社会で曲がりなりにも活動できているのは、音読の学習法に出会ったことが大きく関係していますね。そして従来の音読法に現代の映像技術を掛け合わせ、新たに開発をしたのがシュリーマン式パワーラーニングです。

田口:シュリーマンといえば、ギリシャ神話に出てくるトロイア遺跡を実際に発掘したことで知られている考古学者ですよね。


児玉:そうです。そのシュリーマンは語学の天才で、母国語のドイツ語のほか、英語、フランス語、オランダ語、スペイン語、アラビア語など、一説によると30か国語もマスターしたといわれています!そのシュリーマンが行った学習法が、まさしく音読だったそうです。彼は、ひたすらに音読を繰り返して、多くの言葉を身につけたといわれているのですよ。

田口:なるほど。音読の効果はすごいですね。私はいろいろな方法で、勉強してきたわけですが、もっと簡単に英語をマスターすることができたようですね。学生ももっともっと語学力をつけなくては、と痛感しています。日本の学生やビジネスマンが語学が不得意で、海外に出なくなっているというのは問題ですね。もっともっと、語学力をつけて、世界に挑戦してもらいたいと思っています。

児玉:日本人は、小学校から中学、高校、人によっては大学まで、多くの時間を英語学習に費やしますが、それだけやっても、なかなか海外に出たとき、英語がすらすらしゃべれる人は少ないですよね。

田口:確かに、英語がすらすらしゃべれる日本人は、あまり多くありませんよね。なぜ日本人は、英語が苦手な人が多いと思われますか?

児玉:日本人が英語が苦手な理由の一つとして、学習方法が挙げられます。日本での英語の学習方法は、パズルを解くような受験勉強が中心で、英語を学ぶというよりは、パズルを解く勉強をしてきたといってもいいかもしれません。世界の外国語の学習法をみると、やはり音読が多いのです。その一方で日本の学習法は、音読にあまり焦点が当てられなかったのです。しかし今からでも、遅くはありません。音読は、リスニング力も、スピーキング力も上げる、とても効率的な方法です。シュリーマン式パワーラーニングの場合、目で文章を見て、耳で言葉を聞いて、そして口で実際に発音する、頭で覚えるのではなく身体全体で学習するので、英語が苦手だという人にもおすすめですね。

田口:音読の学習法がもっと一般的になってほしいものですね。国境を気にしないで、どんどんと友人を増やしていく。これは人生の醍醐味ですよね。よく自分の発音に自信がないという人がいますが、普通の日本人が大人になってからいくら練習しても、まずネイティブの発音にはなりません。しかし、ネイティブの発音は必ずしも必要ではないのです。本当の意味の国際人になるには、Native Englishだけでなく、Broken Englishが理解できないといけないんです。

児玉:そうですね。私も英語を話せるようになったことで世界が広がりました。完璧なネイティブの発音でなくても、英語は伝わります。まずは声に出し、話すことが非常に重要なのです。皆さんにもぜひ英語を身につけていただき、活動や交流の場を広げていただきたいです。

児玉克哉
児玉 克哉
三重大学副学長 人文学部教授

国際社会科学評議会理事、国際平和研究学会事務局長。
専門は地域社会学、市民社会論、NGO論、国際平和論、マーケティング調査など。国際平和研究学会事務局長〔2000-04年〕として、世界の平和研究の中心的役割を担い、2010年より再度、事務局長就任。また2006 年エジプトで開催されたISSC総会にてユネスコに本部を置く国際社会科学評議会の副会長に選出され、2010年からは理事を務める。国際的な視点から社会科学の発展に寄与している。

児玉克哉のブログ「希望開発
田口 寛
三重大学名誉教授

専門は、食と健康・文化と癒し・健康増進・疾病予防・健康長寿・美の保持などに関する応用的な研究と実用化・商品化。
特に活性酸素(酸化ストレス)の低減と脳波計を活用した精神的ストレスの低減に関する多面的・実用的研究と商品化を行っている。
数多くの国際会議で英語で発表を行ったり、また大学でも「実用科学英語」の講義を学生に教えていた経験がある。

三重大学名誉教授 田口寛のホームページ
田口寛

音読のススメ